昔むかし、村に8人家族が住んでおった。
朝はやくから日の暮れるまで、まじめに働いておったが、いくら働いても暮らしは貧しいままじゃったそうな。
ある年の大晦日、その家のお父が、家族をみんな集めて、別の土地へ移って出直す決意を伝えたそうな。
それから何日かたって、いよいよ村を出て行く日になった。
家の片づけをすまし、家族が各々わらをもってきて、わらじを編んでおったそうな。
すると、天井の柱の上でなにやら小さな笑い声が聞こえてきたそうな。
お父が天井へ上がってみると、そこで貧乏神がわらじを編んでおったそうな。
貧乏神は、この家族についていく準備をしておると言う。
お父は、貧乏神をつかんで家の外へ放り出すと、もう一度、今の場所で頑張りなおすことにしたそうじゃ。
不思議なことに、それからというものは、家族みんなが頑張ったこともあるが、幸せに生活することができるようになったということじゃ。
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