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四国昔話八十八ヶ所巡り
藤御前  愛媛県東予市・鶴岡神社

昔むかし、源氏と平家に分かれて戦をしておった頃のことじゃ。

壬生川に一艘の小舟が流れ着いた。
その小舟には美しい姫がひとり、気を失って倒れておったそうな。
どこかの身分の高いお方らしく、身につけている着物も、このあたりでは見かけんような大そう高価なものじゃった。
村人たちはその姫を近くの民家に運ぶと介抱したそうじゃ。

やがて姫は、京の都の藤原家のお姫さまじゃということがわかった。
源平の戦で平家が敗れ、京におられず舟で逃げ出して、ここまで流れて来たという。
何と不幸なことよと、村人達は心から姫をあわれんで、北条の里に小屋を建てて、そこに住まわせてやったそうじゃ。

しばらくすると、姫も暮らしに慣れてきて、機織り(はたおり)をしながら、ひっそりと暮らしておったそうな。
そんな姫を、村人達は、いつしか「藤御前」と呼ぶようになったそうな。

ところが、そんな姫の噂が広まると、小松一万石の殿様が姫を嫁に欲しいと言い出したそうじゃ。
一人で静かに暮らしたいと言って、姫は、この申し出を丁寧に断わったそうな。
その後も、殿様は何度も使いをよこしたのじゃが、姫は断り続けたそうじゃ。

そんなある時、殿様はついに家来に命じて無理に姫を城につれてこさせてしもうたんじゃと。
殿様は、姫を自分の思い通りにしようと、やさしい言葉をかけたりおどしたりしたんじゃが、姫の心が開くことは無かったそうな。

ついに腹を立てた殿様は、くちなわ攻めというて、蛇のうじゃうじゃはいまわる部屋の中に姫を閉じ込め、言うことを聞けとしつこく姫をおどしたんじゃそうな。
姫は最期まで首をたてにふらんまま、とうとう舌をかみ切って死んでしもうたそうな。

これを聞いた村人達は、みな涙を流して嘆き悲しんだ。
そうして鶴岡神社の境内に姫をまつり、藤御前神社としてその霊を慰めたそうじゃ。
それからというもの、村の女がこの神社に参って願をかけると、必ず願いがかなえられたそうじゃ。

今も伊予の郷土芸能「カツリドン」の歌に、こんな一節が伝わっている。
「伊予の北条にゃ よい娘は出来な よい娘出来れば くちなわ攻め」



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