ウェブサイト空海〜


空海年表
空海とうどん
四国霊場八十八ヶ所
四国八十八ヶ所人巡り
四国昔話八十八ヶ所巡り
太三郎狸
中国福建省開元寺御守
お接待(プレゼント)
お便り募集


四国昔話八十八ヶ所巡り
石神様  愛媛県宇和島市・吉田町犬尾山

むかしむかし、吉田町でおこった奇妙なおなはしじゃ。

夕暮れになると、川平の森の方からたいそう美しい声の歌声が聞こえてくる。
ところが、その歌声の主を見た者は一人もおらず、町の者はみな気味悪がっておった。

そんなある晩のこと、町に住む二人の若者が歌声の主をつきとめようと森に向かった。
しばらくすると、森の方から小さいがはっきりとした美しい歌声が聞こえてきた。
二人の若者は背中がゾクゾクするのを感じながらも、歌声の聞こえる方へ近づいて行った。
歌声の主にかなり近づいた時、二人は立ち止まった。
すると、歌声の主も立ち止まる。
二人はだんだん恐ろしくなり、後戻りしたのじゃが、その歌声の主も近づいてくる。
こうなると、歌声の主などどうでもよくなって、恐ろしさのあまり、二人は大声を上げてその場を逃げ出したそうじゃ。

二人は犬尾山の中腹にある石神様の境内に転がり込んだ。
二人はブルブル震えながら、石神様にお願いした。
「石神様、どうかお助け下さい」

すると、二人の後を追いかけていたペタッ、ペタッという足音が境内の前でぴたりと止まった。
「残念じゃあ!人間二人食いそこねたあ!」
という地面を揺るがすような大きな声がしたかと思うと、あたりは急に静かになったそうじゃ。

それ以来、石神様は魔よけの神様として、町の人々からたいそう信心されるようになったということじゃ。



Copyright (C) 2006-2008 空海 All Rights Reserved