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空海の帰国申請

順宗皇帝の即位を祝うために、日本からの使者として高階真人遠成がやってきていました。(ところが高階真人遠成が長安に着いた時には順宗が死んでしまっていたため慶弔が逆になってしまったのが現実のようです)

帰国する場合は、日本の使節を通じて唐の皇帝の許可をもらわなければなりませんので、その高階真人遠成を通じて、皇帝に「本国の使と共に帰らんことを請ふの啓」という文章を上啓しました。

皇帝は「空海を留めて自分の師にしようと思っていが、ひき止めるわけにもいかない。この念珠をもって朕の形見であると思え。」と言って帰国を許しました。

20年の勅命をうけて入唐したにもかかわらず僅か2年に満たない期間で切り上げて帰国するということは、その当時では前代未聞であったようです。
ですから、高階真人遠成が空海の希望を撥ねつけなかったことも、不思議といえば不思議といえますが、たまたま、その時は空海の希望が通りやすい情勢だったのかもしれませんし、空海の優れた交渉力による賜物だったかもしれません。

いずれにせよ、もしこの時OKが貰えてなければ、その後30年間、日本からの使節はやってきていませんので、空海は生きて日本に帰ることはなかった可能性が高いのです。

そう考えると、空海の強運にはあらためて驚いてしまいます。



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