入唐を決意させた「大日経」
「御遺告」によれば、空海はとてつもない数の経を読破したにもかかわらず納得いく答えを見つけることができないので、仏前で「願わくば、まことの智慧を授けたまえ」と祈っっていたところ、夢に仏が現れ、「汝の求めるものは大日経という。大和国の久米寺にそれはある」とお告げがあったそうです。
空海は急ぎ大和国久米寺を訪れ、そこで、密教の核心を説いている「大日経」を発見しました。
今まで納得できなかった空海の様々な疑問に、この大日経は答えてくれました。
大日経には、仏と交感してそこから利益をひきだす方法が書かれていたのです。
しかし、それを体認するには、唐に渡って、実際に伝授されることが必要でした。
そこで、大日経の解らない部分を解くために、空海は入唐を決意したのです。
この時代の多くの人のように、栄達のためや文明への憧れで唐へ行こうと思ったのではなく、大日経の中の疑問点を解き、それを体認するために唐にわたる決意をしたのです。
こういった点も、空海の特異な点といえるのではないでしょうか。
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