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お藤がとどろ  高知県土佐清水市・益野川上流

昔むかし、お藤という娘がおった。

お藤のお父っつぁんは百姓で、粟畑をもっておった。
お藤は、お父っつぁんの粟畑の守り番が毎日の仕事じゃった。
お藤は、仕事の合間に近くの渕のほとりで髪をすいたり、水浴びするのが楽しみじゃった。

その日も、お藤は渕のほとりに座って、髪をすいておった。
お藤のすいた黒い髪が一本、水の上に落ちた。
すると、どこからか小さな白い蛇が水面をするすると泳いできて、お藤の髪をくわえると、水の中にもぐっていったそうじゃ。
お藤は、試しにもう一本髪を水の上に落としてみた。
するとまた、小さな白い蛇がやってきて、髪をくわえると水の中にもぐっていった。

お藤はそれが面白く、もう一本、もう一本と小さな白蛇に髪をやりながら時を過ごした。

それからどのくらいたったであろうか、お藤の家では、いつまでたってもお藤が帰ってこないので心配して、お父っつぁんが探しにでかけたそうじゃ。
お父っつぁんが渕までやってくると、どうしたかことかいつも静かな渕がごうごうと音をたてて渦を巻いておった。
その渕のほとりでお藤のくしを見つけたお父っつぁんは、あわてて「おふじ〜!おふじ〜!」と渕に向かって名前を呼び続けたが、お藤はとうとうみつからなんだ。

それ以来、お父っつぁんは狂ったように、くる日もくる日もお藤を探し、山の中へわけいったが、とうとう行方知れずになってしもうたそうじゃ。

以後、その渕は「お藤がとどろ」と呼ばれるようになったそうな。



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