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美味いコーヒーが飲みたければ四国丸亀へ行け!

煎り人・大西一暢
1961年生まれ、四国香川県丸亀市在住の普通の人。
サラリーマンを経て、1994年独立、「珈琲倶楽部」創業。
1997年から珈琲自家焙煎店として、珈琲道に邁進する。
珈琲道を邁進した結果、その卓越した焙煎技術は、日本コーヒー界の巨匠達からも、いちもく置かれる存在となるが、現在も四国丸亀で普通の人として暮らしている。

とってもユニークな普通の人 お1人目

四国香川県丸亀市、瀬戸内海に面した温暖な讃岐平野の片隅に、コーヒー通を唸らせる珈琲専門店がある。自家焙煎珈琲店「珈琲倶楽部」。

この店のマスターが大西一暢さんだ。

大西さんは、自らを「煎り人」と称する。
「コーヒーを煎る(焙煎する)人」という意味である。

コーヒー通のみならず、日本コーヒー界の巨匠といわれる人達をも唸らせるその「コーフィ」。
そんな「煎り人」誕生の秘密を探るべく調査を開始した。



「有色透明で、冷めても美味しい。そしてお客様の好みにあったもの。」
あえて、美味しいコーヒーの条件を挙げるとすれば?との問いに、無駄のない洗練された動きでコーフィを点ててくれながら煎り人が答えてくれた。

煎り人とコーヒーの初めての出会いは中学生の頃。
映画雑誌の中に、高倉健の記事が載っていた。
そこには、高倉健が毎日、サイフォンでコーヒーを飲んでいるという記事が書かれていた。
大好きな高倉健が使っている「サイフォン」って何だろう?
これが、コーヒーに興味を持つきっかけとなった。



煎り人が高校生の頃、友人の親父さんが喫茶店を経営していることを知り、喜び勇んで、その喫茶店に遊びに行った。

その時初めて、目の前でサイフォンの現物を見た。

中学時代に読んだ「高倉健」の記事が思い出され、どうしてもサイフォンが欲しくなった煎り人は、木工所で日給2,500円のバイトをみつけて働いた。
そして、1週間分のバイト代を握り締めサイフォンを買いに走った。

右の写真はその時買ったサイフォンの実物である。
取っ手とランプ以外は何度か割れて新しいものと交換している。



それからは、友人を自宅に呼んでコーヒー会を「時々」開いた。
「たびたび」ではなく、「時々」だったのには理由がある。
当時、コーヒーは「大人の入り口」という特別な感じがあり、
コーヒー会はちょっとばかり構えて飲む、神聖で特殊なイベントのようなものだったからである。

また、この頃から喫茶店巡りが煎り人の趣味となった。
この趣味は大学を卒業するまで続き、各喫茶店のマッチを集めるのも楽しみのひとつとなった。


しかし、この頃はコーヒーそのものよりも喫茶店に興味が向いていたため、まだ自分が煎り人になるとは思っていなかった時期でもあった。



その出会いは、大学時代を過ごしたみちのく仙台でおこった。
大学の先輩の紹介で足を運んだコーヒー専門店「デ・スティルコーフィー」の阿部さんと出会ったのだ。

「デ・スティルコーフィー」の阿部さんは、当時はまだマイナーだったコーヒーの自家焙煎をやっていた。

自家焙煎とは、コーヒーの生豆を、火熱によって炒りあげ、コーヒーの味と香りを自分で作り出すことである。

「この時飲んだコーヒーの味は生涯忘れることができないなあ」と煎り人はにっこりと笑みを湛えて言った。
「今まで経験したことのない、コーヒーの香りと芳ばしさに、天地がひっくり返るような衝撃を受けた」煎り人は、その後、サラリーマンを経て、1994年に地元丸亀で「珈琲倶楽部」を始めることとなる。

また、これは、かなり後年になって判明するのだが、この「デ・スティルコーフィー」は現在の日本の自家焙煎の3大カリスマの一人【銀座 カフェ・ド・ランブルの関口一郎さん】の系譜に当たる本格的な自家焙煎店であった。



開業当時は普通の喫茶店としてスタートするが、ほどなく平成9年からは自家焙煎の世界に足を踏みいれることとなる。

その自家焙煎の方法が、これまたユニークである!
通常は、焙煎機を使うのだが、煎り人はなんと!「手網焼き」焙煎でスタートしたのである!
フライパンを使って料理するがごとく、網の中へコーヒーの生豆を入れて、直火で手焼きするのである。
↑当時使っていた網
↑網の中にコーヒーの生豆を入れて焙煎


実のところ、手網焼き焙煎は焙煎機が手に入るまでの苦肉の策として、煎り人が捻り出したアイディアだったのだが、この手網焼き焙煎の経験が後の焙煎技術の研究と向上に多大な影響を与えることになったのだ。



平成10年、中古の焙煎機を手に入れるチャンスがめぐってきた。
話はトントン拍子に進んだが、最後の最後になって、焙煎機の持ち主が譲るに当たってひとつの条件を提示していることがわかった。

煎り人はドキドキしながらその条件を聞くために足を運んだ。

その条件は「コーヒーに情熱のある人」だった。

熱いコーヒー談義に花が咲き、煎り人はOKをもらった。
その時に「コーヒーは機械が焼くのではない。人が焼くものだということを忘れないで欲しい」というアドバイスをもらい、今も肝に銘じているという。

これを機に、いよいよ煎り人は「珈琲道」を突き進むことになるのである。



前述したように、焙煎(ロースト)とはコーヒーの生豆を、火熱によって炒りあげ、コーヒーの味と香りを作り出すことであるが、焙煎作業は豆を加熱すればいいというものではない。

火が強いと外側だけが焼けて内側には火がとおらないし、弱いと外側より内側のほうが焼けすぎてしまう。
外側も内側も均一に焼き上げる技術が求められる。

コーヒーの味は浅炒りでは酸味が強く、深煎りになるほど苦味が強くなる。
酸味と苦味、天然の甘味など複雑な味の要素をバランスよく整え、さらに豊かな味と香りを作り出すのが、煎り人の腕なのだ。

コーヒーは焙煎次第で、様々な味を生み出すことができるし、同じ最高のコーヒー豆を使っても、焙煎次第で美味しくも不味くもなる。
まさに、料理人のような技術とセンスが求められる。

情熱の焙煎機を手にした煎り人は、仙台からわざわざ駆けつけてくれた「デ・スティルコーフィー」の阿部さんや、縁あって出会った自家焙煎の西の巨匠の一人に教えて頂きながら、日々焙煎探求に没頭した。

しかし、焙煎機の操作等基本的な事は教えてもらえても、味の出し方は自分で研究するしかない。

コーヒーの歴史はもとより、素材であるコーヒーの品種や特製、コーヒーに使う水の研究、その日の天候や湿度による豆の焼き上がりの違いを細かくデータにする…美味い自家焙煎店があると噂を聞けば西に東に尋ねて回り、コーヒー以外のあらゆるジャンルの料理人や職人からも話を聞いて、自分の焙煎に貪欲に活かした。

いつしか気づけば、コーヒー通が店に集うようになり、気さくな人柄の煎り人を慕って様々なタイプの人間が周りを囲むようになった。
脱サラをして煎り人の下に弟子入りする人まで現れた。



弟子ができたからといって、煎り人の探究心は変わることがない。
変わったことといえば、弟子入りした出口さんを気遣うあまり、ほんの少しの期間だけ煎り人の後頭部に小さな10円ハゲができてしまったことぐらいだ。

弟子入りしていた出口さんも、2年間の修行を終えて独立し、今では姫路で自家焙煎「豆や珈楽(こうらく)」を開業している。

独自の焙煎技術を確立するために研究を続ける傍ら、接客の原点を求めて、讃岐屋島の山上で観光客を相手に、お客様の目の前でコーヒーを淹れて振舞う「お点前珈琲」にも挑戦した。

この試みは話題を呼び、地元情報誌の他に全国的なメジャー週刊誌からも取材を受けた。

また、幻のコーヒーといわれる希少な「イタチコーヒー」をいち早く入手し、地元のみならず全国のコーヒー通を感嘆させたりもした。

独自の調査によれば、テレビ番組で特集されたこの「イタチコーヒー」の情報源のほとんどが、煎り人の取材から作製されているようである。

数年前には、コーヒーの産地であるブラジルまで足を運び、現地のコーヒー農園から直接コーヒー豆を買い入れたり、最近も世界で20表だけのコーヒー豆を仕入れて、コーヒー好きのお客様を喜ばせている。



カウンターに座っている珈琲倶楽部の古くからの常連客のひとりに話を聞くとビックリするような逸話が続々出てくる。

大手飲料メーカーの「朝専用コーヒー」はご存知の方も多いと思われるが、このヒット商品が発売される何年も前から、人間の朝の健康状態を考慮して選んだコーヒー豆を使って特別に焙煎した「朝にぴったりのコーフィ」を作っていたとのこと。
また、最近TVコマーシャルで紹介されたコーヒーのルーツであるエチオピアのアビシニア高原の伝説の野生コーヒーも、かなり前に入手して販売していたそうである。
「大手メーカーのスパイが出入りしているのではないか?」と常連客の間で冗談半分で話題になったことも多々あるとか…


そんな煎り人に将来の夢を聞いてみると
「やっぱり、高倉健さんかなあ(笑)」
コーヒーに興味を持つきっかけになったあの「高倉健さん」のために、死ぬまでに一度でいいからコーヒーを淹れてみたい!そうだ。



コーヒーは、差別化の難しい飲み物です。
「コーヒーの味の違いがよくワカラナイ」という人は珈琲倶楽部のカウンターに座ることをオススメします。

そして、少しだけ勇気を出して、煎り人に「コーヒーの飲み比べを楽しみたいのですが…」と言ってみてください。
メニューには載っていない「同じコーヒー豆を使っても焙煎度合いを変えるとどのように味が変わるかを体験できる」コーヒー飲み比べセットが味わえるかもしれません。
飲み比べセットを楽しみながら、店内に飾ってある「珈琲道」の額のことを聞くも良し、「コーヒー」ではなく何故「コーフィ」なのか尋ねるも良し。

そして、煎り人にはたくさんのユニークなお知り合いがいます。
讃岐うどんを料理にまで高めた友人や全国的に有名な写真家の同級生の話が聞けるかもしれませんし、あなたのびっくりするようなユニークな人物を紹介してくれるかもしれません。

とってもユニークな普通の人「煎り人・大西一暢」があなたの四国人巡り(ひとめぐり)観光の出発点になることを願って、おしまいとします!



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