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白蛇伝説  愛媛県今治市・玉川町畑寺

昔むかし、畑寺の竜口の谷に一匹の白い大蛇がおったそうな。

この白い大蛇は、たいそうな神通力をもっていて、にょろにょろと はうのではなく、風のように峰から峰へと飛んでおったそうな。

白い大蛇が住んでいる竜口の谷は、北向で日当たりが悪いので、時々南向きの日当たりのいい反対側のけたの谷へ日向ぼっこに出かけておったそうじゃ。
けたの谷には、お地蔵さんが祀っておって、雨の降らない年は、村人全部が集まって、雨乞いのお祈りや雨乞いの踊りをする習慣があった。
そして、この雨乞いの日に白い大蛇を見ると必ず雨が降るので、村人は神の化身だとたいそうありがたがっておったそうな。

ある年のこと、日照りに苦しんでおった村人はお地蔵さんの前に集まって雨乞いをすることにしたそうな。

すると、驚いたことにお地蔵様の後ろに白い大蛇が現れた。
白い大蛇はまるで「こっちへ来い、こっちへ来い」と言っているように首を振っておった。
村人達がついていくと、そこはけたの山の頂じゃった。
白い大蛇は体を丸くして大きな円を作ると、「ここを掘れ、ここを掘れ」と言っているように首を上下に振り始めたそうな。
しばらくの間、そうした後、白い大蛇は風と共に去っていってしもうた。

村人達は、白い大蛇が指し示した場所を掘ってみることにしたそうな。
しばらく掘り続けると、とんでもない大きな石が現れたそうな。
村人達がみんなで協力してやっとのことで、その石をのけてみると、その下から水が湧き出してきたそうな。

数日後には、そこに満々と水をたたえた池が完成したのじゃった。
「ありがたや。ありがたや。」
村人達はみんな白い大蛇をありがたがって、天を仰ぎながら、手を合わせて感謝したそうな。
こうして、この池のおかげで、村人達は水の心配をすることもなくなり、作物もたくさんとれるようになって安心して生活がでるのようになったということじゃ。

今も畑寺では、お盆の月の27日に白蛇様にお礼をするため、盛大に盆踊りをしているという。



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