昔むかし、真光寺というお寺に一本の松があった。
その松は当時の真光寺の大徳瑞竜和尚が自ら植えたものでわが子のように大切に育てておったそうな。
ある時、大徳瑞竜和尚が年老いて、病に臥せっておった。
そして、死期をさとった和尚が弟子の僧に
「私が生きているうちに、あの松の花を見たいと願っておったが、無理なようじゃ。私が死んだ後は、あの松の世話を頼む。」
と言ったそうな。
弟子の僧はその夜、松の下に座ると一心に読経祈願し
「松よ、霊あらば花開け」と松に言いつづけたそうじゃ。
すると不思議なことに、翌朝、その松が美しい花を咲かせたという。
花を咲かせている松を見た瑞竜和尚は、弟子の献身的な看病もあり、奇跡的にみるみる元気になったそうな。
それ以来、誰言うとなくその松を「師弟の松」と呼ぶようになったそうな。
その後、この松は、大正元年に伏見宮文秀女王殿下が訪れた際に「翠玉の松」という別名を賜わったということじゃ。
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