昔むかし、佐那河内村に牛打坊という怪物がおって、農家の牛をてあたり次第に殺したそうな。
困った百姓たちが、見張り番をたてたり、おまじないなどをしてもろうたが、いっこうに牛打坊をやっつけることができなんだそうじゃ。
ある日のこと、八多村の大岡という坊さんが村を通りかかった。
牛打坊の話を聞いた坊さんは「わたしが退治しましょう。」と言い出したそうじゃ。
それから毎晩、坊さんは村の入り口に立って、お経をあげながら見張りを始めたそうじゃ。
ある晩のこと、暗闇の中を牛打坊がやってきた。
坊さんは牛打坊に飛びかかり、大格闘となったそうじゃ。
どのくらいたったじゃろうか、ついに坊さんは牛打坊を押さえつけた。
牛打坊は「二度と佐那河内には来ませんから、どうか許してください」と命乞いをしたので、坊さんは許してやったそうな。
その時に、牛打坊が書いた「二度と佐那河内に来ない」という証文が、大宮八幡神社の裏山に坊さんによって埋められたので、その山を「状が丸(じょうがまる)」と呼び、現在では「上が丸(じょうがまる)」と呼ばれておるそうな。
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