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雨乞い〜祈雨の修法〜

神泉苑における祈雨の修法は、空海にまつわる話の中で最もドラマチックなもののひとつといわれています。

この時、天下の人々は旱魃によって苦しんでいました。
神祇の奉幣や諸寺での祈祷が数多く行われましたが、いっこうに雨は降りませんでした。
ついに、淳和天皇の勅命が下り、空海が請雨経法を行うことになりました。
その場所として空海が選んだのは、四神相応の地として造営された平安京の龍穴である神泉苑でした。
貴族から一般民衆に至るまで多くの人々が息をつめて空海の修法を見守りました。

もし、祈雨に失敗すれば、空海の立場は失墜してしまいます。
恵果から伝えられた請雨経法の効験の有無が、公の場で問われたのです。

はたして、結願の日、黒雲が空を覆い、雷は四方に鳴りわたり、雨は3日間降り続きました。

この成功は天皇と空海だけのことではなく、天下万民の愁いに終止符がうたれたことであり、それはひろく民衆の中で空海の地位と栄誉が確立したということでもありました。

この話は、空海と空海のライバル西寺の守敏との呪術対決という形で、後の「今昔物語」にも収められ、現代にも伝えられています。



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