昔むかし、天智天皇が、九州へ向かう途中、粟田に上陸した時のお話じゃ。
その時、一言主命(ひとことぬしのみこと)という神様が、天皇のお供をしておった。
この地で、天皇が狩りをされた時、一言主命は狩りの先頭に立ったそうな。
ところが、乗っておった馬が藤カズラにひっかかってしまい、一言主命は落馬してしもうたんじゃと。
落馬したひょうしに、はえておった竹で目を突いてしもうたそうな。
この傷がもとで、一言主命は天皇のお供ができなくなり、この地でさびしく一生を終えたそうな。
それからというもの、粟田村と近くの大浦村、宿毛谷村、鳥ヶ丸村では、たたりを恐れて馬を飼わんようになったそうな。
竹や藤カズラもはえんようになったということじゃ。
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