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【第5回】讃岐うどん商標権問題

つい先日、日経新聞一面の特集にも掲載されていましたが、最近「讃岐うどんの商標権問題」が取り沙汰されています。
今年になって、地元讃岐(香川県)の各メディアはもとより、NHKの全国ニュースにも取り上げられている問題ですが、実際にコトが起こったのは昨年の11月でした。
当サイトでお世話になっている奥山さんの雑誌「麺の世界」に詳しい経過が掲載されていますので、ここで紹介させていただきます。

■台湾における「讃岐」商標権問題

2007年11月8日、台湾で讃岐うどん店「土三寒六」を経営している樺島泰貴氏に台湾大手製麺メーカー「南僑社」から内容証明郵便が届き、「讃岐」「サヌキ」「SANUKI」などは南僑社が商標登録しているゆえ、看板から「讃岐」の文字を即刻削除せよとの抗議があった。

樺島氏はただちに香川県に報告。「土三寒六」は香川県から「さぬき大使館」の認定を受けており、前日11月7日に真鍋武紀香川県知事が訪問したばかりだった。
さらに交流協会(大使館に相当する外交機関)・台北市日本商工会・顧問弁護士・日本うどん学会にも知らせ、アドバイスを求めた。
関係者の大勢は、地名は本来商標登録できないはずゆえ、何らか解決の道があるのではないかという見解だった。
しかし、ほどなく「商標権がある」という現実はいかんともしがたいことを認識するに至る。

11月19日、「3日後の22日までに実行せよ」と2回目の警告があった。
11月26日、3回目の警告とともに、南僑社が刑事訴訟手続に入る意向であることが弁護士を通じて知らせれた。台湾では商標の無断使用は刑事事件となる。したがって、商標登録無効審判請求を起こして刑事訴訟手続を中断させなければ、最悪の展開では、拘留〜国外退去という事態になりかねない。
支援を求めた香川県からは「県は県の立場で動きますので、(無効審判請求は)自分で起こして下さい」と連絡があった。

12月7日、南僑社から「1週間以内に撤去せよ」との最後通告とともに、「今後とも『讃岐』を使うのであれば売上の数%のロイヤリティを支払うか、当社の冷凍麺を購入せよ」との要求があった。
13日、やむなく看板から「さぬき」「讃岐」「SANUKI」の文字を削除した。

3月2日、『毎日新聞』がこの問題を大きく報道。これがキッカケとなってKSB瀬戸内海放送(3日)、『四国新聞』(4日)、台北の新聞社(6日)と報道が続き、世論が喚起されていった。
また、それまで水面下で支援の方向を探っていた一部香川県議会議員が表立って動き始めた。
なお、その後マスコミは「アジアにおける商標権トラブル」に関心を広げ、『東京新聞』(4月8日)、『読売新聞』(9日)、『中日新聞』(12日)、『毎日新聞』(13日)が、中国などで「青森」「鹿児島」などの地名や、「九谷焼」「松坂牛」などの名産ブランドが無数に商標登録されていることを報じている。

3月10日および17日の定例香川県議会において、大山一郎・新田耕造両議員らが「讃岐」商標問題への対応をただしたのに対し、川池秀文観光交流局長は「本来民・民で解決すべき事案」「県産品の販路開拓や台湾での県内企業の事業活動に支障が出ないように取り組むことが必要」と原則論・一般論を述べるにとどまった。
ここにおいて台湾現地関係者が意見交換をした結果「国も県も簡単には動ける状況でない」と判断、樺島氏が独自に無効審判請求を起こすことを決意するに至る。

3月28日、台北市日本工商会において記者会見が行われ、「日本国地名登録商標問題」についてあらためて説明があったあと、樺島氏が「『讃岐』等の商標無効審判評定申請」することが発表された。日本から馳せ参じたメディアもあった。
会見後、工商会は台湾政府経済部智慧財産局に対し、日本の地名等を商標登録の対象としないよう、日本の地名リストを付した「意見書」を提出した。
4月1日、樺島氏は智慧財産局に対し評定申請を行った。

日本うどん学会は樺島氏の報告を受け、「讃岐うどんが古くから根づいている特産品であること」を示す資料を収集するなどの支援をしてきたが、無効審判請求が提起されたのを受け、台北駐日経済文化代表処(大使館に相当する外交機関)を通じて善処を申し入れることになった。
5月7日、佃昌道会長と武林正樹副会長が許世楷代表を訪ね、「申し入れ書」を手渡した。申し入れに大野功統衆議院議員、綾田福雄・大山一郎・新田耕造氏ら3県議会議員が同行した。
許代表からは、「さっそく本国に伝え、樺島さんが安心できるように計らいます」との発言をえた。

5月12日、NHK「おはよう日本」で商標権問題が取り上げられ、一連の報道が総括された。
1.樺島氏の店とコメントの紹介
2.大陸では日本の37都道府県名が登録されている
3.有名ブランドでは、「越光」「無印良品(MUJI)」などが登録されている
4.大陸の知的財産当局も好ましいことではないと思っているが、年70万件もの登録申請があり、チェックが追いつかない
5.香川県当局が「県だけでは対応しきれない」と投げているのに対し、青森県は実際に異議申し立てを行って取り消させ、その後も担当部署がサイトを監視し続けている
6.この際、国が対策を取るべきであると結んでいる

5月14日、KSB瀬戸内海放送が、
1.樺島氏のこれまでの動き
2.川池局長の答弁
3.日本うどん学会の申し出の場面
4.香川県が動き出したこと
を放映した。

5月26日、さぬきうどん協同組合、香川県製粉製麺協同組合、小豆島手延素麺協同組合、さぬきうどん研究会の4団体が県(観光交流局)に対し、台湾における商標権問題の早期解決を求める『要望書』を提出した。

5月28日、川池局長が訪台、智慧財産局に早期解決を要請した。
その後「土三寒六」を訪れ、樺島氏に、今後必要な協力をすることを約した。

樺島氏にとって慣れない異国での営業がどうにか軌道に乗ったところでの出来事だった。
樺島氏の負けず魂を支えているのは「讃岐うどん」に対する愛情と自信、それと、理不尽な要求には屈しないという生来の正義感であろう。
それにしても香川県の対応はどうだろう?初めから県民の文化や財産を進んで守ろうという姿勢がない。「ミンミン」という言い方はお上意識丸出しである。ことの本質が民間同士の争いでないことに気づかなかったのだろうか?残念というしかない。
(以上、「麺の世界」より抜粋)

みなさんは、どう思われますか?
樺島氏への応援メッセージ等ございましたら、メールお待ちしています!


【第6回】年明けうどん


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