四国霊場八十八ヶ所巡礼用品・金剛杖について
弘法大師空海の分身といわれる大切な道具です。
お遍路さんは「お杖さん」と呼んで大事にします。
お遍路さんの実用必需品です。
特に、疲れてきた時や登りの山路では有り難味がわかります。
また、野犬や蛇などから身を守る道具にもなります。
昔、金剛杖は、お遍路の途中で倒れた時に卒塔婆の代わりになるものでした。
ですから、金剛杖は今でも上の方が卒塔婆の形になっているのです。
この部分は、保護しなければなりませんので、上部に布カバーがついたものが望ましいとされています。
さて、実際にアスファルトの道を突いて歩くと先がささくれだってきますが、決して、刃物で削ったりしてはいけません。
ささくれだって来たら、路面に擦り付けて取ります。
最後まで使うと10cm以上磨耗するといわれています。
また、橋の上では突いてはいけないきまりになっています。
昔、宿に困ったお大師さまが、番外霊場十夜ヶ橋の橋の下で寒さに耐えながら野宿されたという伝説に由来したお遍路の心得です。
お大師さまが橋の下で寝ていたら失礼になるからというのがその理由です。
宿についたら、まずすることは、金剛杖の先を洗い清め、タオルで拭き、床の間など部屋の一番良い場所に立てて置きます。
そして、合掌してお礼の言葉を述べてから一日の行を解きます。
「杖より先に自分を休めるな」と「汚い所に置かない」といわれています。
ですから、道中の休憩時も、杖を先に休ませてから腰を下します。
また、お手洗いへ入るときは持って入らず、必ず外へ置きます。
その時、気をつけなければいけないことは、置き忘れすることです。
どんなに気をつけていても一度や二度は置き忘れをしてしまいます。
置き忘れをすると取りに戻らなければならないことになります。
たとえ100mでも戻るということは、どれほど精神的に負担になるか、経験したものでないとその辛さがわかりません。
置き忘れには充分注意が必要です。
また、人の忘れた杖を拾って使ってはいけない事になっています。
他人の業を背負って歩くことになるからだといわれています。
お遍路を無事完了したとき、杖は第八十八番札所大窪寺に納めるのが一般的ですが、自宅まで持ち帰り大事に保管した方が良いという人もいます。
いつか肉親があの世に旅立つ時、金剛杖を添えてやればその功徳で冥土の旅も安心だからだそうです。
※このコーナーは株式会社サンエイ様のご好意により作成させて頂いております。
詳細は株式会社サンエイ発行「楽しくなけりゃ…遍路じゃない!」をご覧下さい。
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